築年数が古い家のリフォームで気をつけたいこと
高度経済成長期に建てられた家をリフォームしたいという要望は多くありますが、築年数の古い家を補修する場合は気を付けたいことがいくつかあります。こちらでは、東京で築年数が古い家をリフォームする場合、補修することが多い個所を取り上げつつ、それを踏まえての注意点を3つに絞ってご紹介します。
気づかないうちに法律違反をしないように注意しよう
築年数が古い家のリフォームを考える場合、補修箇所が広範囲に及び、思っていた以上に大掛かりな工事になる場合があります。大規模な工事となる場合、内容によっては法律に抵触する恐れがあるため、注意が必要です。
まずは、容積率や建蔽率の問題が関係します。土地も建物も法律による制限があり、土地は都市計画法、建物は建築基準法という法律でさまざまな規制がされています。
その中でもポイントとなるのが、敷地面積に対しての建築面積の制限である建蔽率と、建物全体の床面積である容積率です。とくに東京など首都圏の新築物件の場合、できるだけ建物の床面積を広くするために延べ床面積が容積率の制限いっぱいに建てられていることも多く、リフォームで増床を考える場合に問題となることがあります。
また、望んでいる工事内容が法律に抵触しないかどうかを設計者や工事業者に確認することが大切です。建蔽率や容積率の問題がクリアできても、大規模な工事の場合は建築確認が必要になる場合があります。たとえば、壁を取り除いて広い部屋にしたい、階段の位置を変更したいなどのケースです。
建物の構造の内、壁・柱・床・はり、屋根・階段は建築基準法上の主要構造となるため、これらの構造の変更を行う場合は建築確認が必要になります。こうしたケースでも、設計を担当する方や工事業者などに確認することがおすすめです。そのため、いずれのケースにおいても信頼できる業者の選択が大事になります。
耐震強度や耐久性が下がってしまう危険性
「間取りを変更したい」「壁を取り払って部屋を広くしたい」「窓を増やしたり大きくしたりして光が入るようにしたい」というのが、築年数が古い家のリフォームに多い要望です。
単に間仕切りをしている壁の増減であれば問題ない場合もありますが、壁が柱の役割を担っていて、壁自体で家を支える構造となっている場合には、壁を取り除くことで建物の強度が落ちてしまい耐震性や耐久性に影響することがあるため、注意が必要です。
また、窓がなかったり小さかったりすることで家の強度が保たれている場合も多いものです。採光が目的とはいえ、壁の面積が狭くなることによる強度低下の問題があるため、業者との相談が必要です。
構造変更を考える以前に、もともと耐震基準に達していない場合もあります。1981年以前に建てられた住宅は古い耐震基準で建てられている可能性が高く、さらに経年化の影響などで地盤の問題も絡んで、大きな地震に耐えられなくなっている家もあることでしょう。
東京を含む関東圏は大地震の可能性が指摘されており、せっかく家をきれいにしても地震で倒壊してしまっては元も子もないので、リフォームを機に耐震診断を受けて、基準に見合った補強をすることが大切です。耐震診断は建築士や住宅診断士などの専門家に依頼して行うことができますが、耐震診断・耐震工事ともに自治体から補助金が出る可能性があるので、自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。
工事の内容によっては費用が高くなる
とくに築年数が古い家をリフォームする場合、ここもあそこも直したいと工事個所が多くなるケースが見受けられます。補修箇所が多くなると工事費用が高くなる場合が多く、内容によっては立て替えをしたほうが安くなるケースがあります。さらに外観をリフォームする場合は、材料費に加えて足場を組まなければならないこともあり、こちらも費用が高くなる要因となります。
また最近では、オール電化や床暖房など高電圧の設備が必要となることがしばしばです。高電圧の設備を設置するためには、電線の太さを変更するといった工事が発生します。さらに、洗面所やトイレを増やす、キッチンや台所の使い勝手をよくするために水道設備を充実させると、使用量が増えることで引込管の口径を変更する必要が出てきます。
このような電気周りや水回りの工事は自費となる場合も多く、工事を始めてから発覚することもあるため、予定よりも出費が増えることを覚悟しておくことが大切です。
工事を始めてから問題が発覚するケースでよくあるのは、基礎部分の問題です。湿気によって腐食していた、シロアリに侵食されていたなど、床板をはがしてみて初めてわかることも多くあります。そのような場合には、基礎部分や主要構造部分を新しくしたり補強したりする必要もあるため、当初の予定よりも費用が増すことが多くなり、とくに湿気が多い東京などは注意が必要です。
東京で築年数が古い家をリフォームする場合は、工事内容により法律に違反していないかどうか、建築確認が必要か、耐震性や耐久性を損なわないかを業者にヒアリングすることが大切です。さらに工事内容により費用がかさんだり、工事を始めてから問題が発覚し、工事費用の積み増しが発生したりする可能性も考慮しておくとよいでしょう。
